BM 編集長: クリスティアン・ネルダーマン
アウクスブルクにあるこの家具製作所は、主に家具と内装を扱っています。ライムント・イスレ氏 (45) は 2 年前にフーベルト・サンヴァルト氏から会社を引き継ぎ、現在は研修生 1 人を含む 11 人の従業員を抱えています。スペシャリストが揃うこの製作所のポートフォリオには、個人向けや商業向けのあらゆる家具や内装が含まれます。
最初からデジタルで
ライムント・イスレ氏は、「最初からデジタルである」ことを好み、伝統的な家具製作所を現代のデジタル化された作業場に変えることを目標としています。一貫性をとても大事にし、作業はデジタル 3D 測定から始まります。彼の最初のプロジェクトの 1 つは、機械とさまざまな作業領域をネットワークで繋ぐことでした。そこで、作業場とオフィスには約 8 kmのケーブルとデータ回線が敷設されました。例えば、HOMAG の水平パネルソーと 2 台の CNC マシニングセンターが、社内ネットワークに直接接続されています。
パネル切断を大幅に最適化
イスレ氏は HOMAG Group と信頼のおける技術パートナーシップを維持しています。世界市場のリーダーである HOMAG が提供する強力な最適化ソフトウェアとさまざまなデジタルアシスタントを使用して、製作所は既存機械の生産性をここ数年で大幅に向上させました。まず 2022 年に、ウェブベースの最適化ソフトウェア IntelliDivide を導入しました。それまで家具製作所では、手書きの部品リストをパネルソー (2011 年製) のコンピュータに直接入力し、そこで切断図面をローカルで生成していました。
最適化ソフトウェアとその多様なオプションを使用したことで、パネル切断のパフォーマンスが 30 % 以上向上し、イスレ氏も満足しています。「これまで不可能だった大量の注文にも対応できるようになりました。さらに、エラーの発生が大幅に減り、残材もとても少なくなりました。作業の準備に少し時間がかかりますがその価値はあります」。intelliDivide のワークフローは複雑ではありません。部材リストを (産業用ソフトウェアや CAD などから) アップロードしたら、すぐに最適化を開始できます。
intelliDivide の特別な点は、いくつかの異なる案を同時に計算し、代替案を見やすくグラフィック表示することです。部材の範囲、材料の組み合わせ、注文サイズに応じて、少ない残材、少ない手数、最小材料コスト、または最短処理時間など豊富な最適化オプションを提示します。どの切断図面が最適かは、ユーザーが自分で決定します。結果の概要表示では、材料の消費量とコスト、生産時間などの重要な数値が一目でわかるようになっています。最適化後、ネットワークを通じて切断図面をすぐにパネルソーでの加工に使用できます。IntelliDivide には、「テンプレート」という新機能があります。これにより、最適化で、前板で隣り合う部材で化粧板の図柄を合わせる必要がある場合などに、部材をまとめておくことができます。このような部材は、まず 1 つの部材として切断され、後で分離されます。intelliDivide はウェブベースのソフトウェアであるため、メンテナンスや更新の費用はかかりません。このソフトウェアは常に最新の状態です。すべての従業員が共通の企業ライセンスを使用します。
効率的な材料管理
今年、ライムント・イスレ氏のチームは、クラウドベースの残材・パネル管理とクラウドベースの縁材管理という 2 つの新しいツールを導入し、プロセスが大幅に簡素化および高速化されました。2 つのデジタルアシスタントの基礎となるのは、materialManager です。これは、すべての縁材テープとパネルの材料と在庫、そして残材や予約を含む保管場所の概要を継続的に提供します。
縁材管理を簡単に
最適化の効果は、縁材管理の領域で特に顕著です。縁材テープアシスタントは、縁材の在庫や保管場所に関するすべての情報を提供します。納品範囲には、materialManager および materialAssist アプリ (棚の縁材テープ管理) に加えて、ラベルプリンタ、HOMAG Cube (棚とプリンタをインターネットとアプリに接続するためのコントロールボックス)、ダウンロード可能な設計図、縁材棚用のオプション LED バーが含まれます。
縁材とそのすべてのデータを materialManager に入れれば、そこで一元管理できる仕組みです。アプリには、現在の在庫と、各ロールの正確な場所が常に表示されます。生産中、縁材ロールは縁材棚に保管され、すべての情報はタブレット上の materialAssist アプリに保存されます。その後、各縁材テープに関するすべての情報 (プロパティ、残りの長さ) を簡単に確認できます。縁材テープを識別するためのラベルも同様に簡単に印刷できます。部材の縁材加工をするときは、アプリで正しい縁材テープを選択するか、注文用紙にある専用コードをスキャンするだけです。保管場所は縁材棚の LED の点灯によって示されます。つまり、最適な縁材を探す手間はもうありません。ライムント・イスレ氏は、「ぐちゃぐちゃだったものが整理された」と笑顔でコメントしました。縁材加工後は、タブレット上の materialAssist アプリでいくつかの簡単な入力を行うだけで、各ロールの残りの長さが更新されます。すると、materialManager でも自動的に更新されます。
プロセスの透明性がさらに向上
ライムント・イスレ氏は満足げに話します。「HOMAG のソフトウェアツールを使って、既存の機械の生産性を大幅に向上させることができました。プロセスの透明性も大幅に向上しました」。また注目すべき点として、この家具製作所では生産に関してすでにほとんどペーパーレス化されていることです。イスレ氏は、すでにさらなる最適化を計画しています。それは、HOMAG のデジタルジョブフォルダ ProductionManager の導入です。これによって、すべての従業員が―オフィスや製造現場、そしてベンチルームからでも―各ジョブに関するあらゆる情報にリアルタイムでアクセスできます。
このウェブアプリは、データの一貫した管理を効果的にサポートするだけでなく、生産においてすべての構成部品の最新の加工ステータスを取得できます。このデジタルツールを使用することで、イスレ氏は自身の家具製作所が、生産性をさらに最適化し、競争力を持続的に強化する正しい道を進んでいると考えています。
「「これまで不可能だった大量の注文にも対応できるようになりました。さらに、エラーの発生が大幅に減り、残材もとても少なくなりました。作業準備に少し時間がかかりますが、それだけの価値はあります」」家具製作所 Issle und Sannwald GmbH の社長、ライムント・イスレ氏