木工職人の高品質の切断を工業生産の高い効率で

2023/10/30   |   Villingen-Schwenningen   |   ドイツ

高品質、高い処理量、直感的な操作、革新的なアプリと機能: 最新のパネルソーには大きな期待が寄せられています。その期待は特に木工場で顕著ですが、不思議はありません。木工場では職人がますます高まる要求に対応しなければならないからです。フィリンゲン=シュヴェニンゲンにある Artur Summ GmbH & Co. KG はそれらの要求に応えると共に、新しい HOMAG 鋸 SAWTEQ S-300 の使用でこれまで以上に切断を効率的に行っています。 

大量生産された製品をカスタマイズ可能な形で提供するという家具メーカーでのトレンドが浸透していく一方で、家具製作所では大規模工場とほぼ同じ効率でロットサイズ 1 から製品を製造することが重要になっている、という矛盾が生じています。その際にはもちろん、木工場の高い品質という周知の長所を失うようなことがあってはなりません。Artur Summ GmbH & Co. KG は、実際にそれが可能であることを昨年の夏から切断において証明しています。同社は昨年の夏から HOMAG の新しいパネルソー SAWTEQ S-300 で作業を行っているからです。 

高い品質か高い速度か? どちらもです!

非常に幅の広いエアクッションテーブル、材料処理量を増やすための Power Concept、ecoPlus テクノロジー、intelliGuide による直感的な操作ガイドなど、Artur Summ の SAWTEQ S-300 には、HOMAG 開発部門が現在提供しているもののほぼすべてが備わっています。「これはすごいことなんです」と、この 1929 年に設立された伝統ある会社の家具工場長であるファビアン・ツィーグラー氏は理解しています。1 から 10 の段階でイノベーションを評価した場合、ツィーグラー氏は HOMAG に躊躇なく最高点を付けます。 

この 3 代目が率いる木工場は、なぜこれほど広範な装備のある新しいパネルソーに投資したのでしょうか? 「私たちは納期遵守と品質を大事にしています」と、Artur Summ で見積もりとマーケティングを担当しているヤン・リーレ氏は話します。「どちらもお客様を尊重することに関係しています。ご依頼主が個人でも法人でも、また、公的機関でもそれは同じです。私たちは期待に応えていて、コロナの時期でも高い稼働率を誇っていました」とリーレ氏は続けます。「このことが」とツィーグラー氏が補足します。「切断時に幾度となく材料が滞留するという結果を招きました。当社の古いパネルソーでは十分な処理ができなかったからです。」 

この会社は 1999 年から、同じく HOMAG 社製のパネルソーであり、実績のある HPP シリーズを使用していました。「この古い鋸にはとても満足していました。ただ、20 年以上にわたって日々使用した後では、そのハードウェアはもう時代に合わなくなっていました。必要な生産量を提供し続けるためには、品質を下げるしかなかったでしょう。そんなことはあってはなりません」と、この工場長は強調します。 

そのため、すぐに新しいソリューションを見つける必要がありました。そのソリューションとは、できる限り向上した切断品質を維持しながら、生産スピードを著しく高めるものです。「そのようなソリューションを探す中で、2022 年に展示会 HOLZ-HANDWERK に行きました。そこで HOMAG のブースを訪れ、SAWTEQ B-300 を見つけたのです。現在当社が所有している鋸の先代モデルです」とツィーグラー氏は回顧します。その後まもなくして、最初に生産された SAWTEQ S-300 鋸の 1 台が Artur Summ で稼働し始めました。

人間工学と操作コンセプトを一手に

このような迅速さとそれに必要な決断力は、この家族経営企業の強みの 1 つです。「大規模工場と違って、決断までに長くはかかりません。新しい機械を必要としていて、SAWTEQ S-300 のときのような機会があれば、思い切った決定をします」とリーレ氏は話し、こう加えます。「最新の機械が私たちにとって不可欠であるからです。それは、生産要求の増大を考慮してのことだけではなく、有能な職人が当社に魅力を感じられるようにし、職人を会社につなぎとめるためでもあります。」 

ファビアン・ツィーグラー氏とヤン・リーレ氏は、いかにそれに成功しているかを示す模範例となっています。2 人は Artur Summ で職業訓練を終え、そこから世界へ羽ばたき、さまざまな現場を経験した後にこの会社へ戻ってきました。チームや企業文化に関しても工場の装備に関しても、すべきことはたくさんあります。「品質とスループットを高めるために、私たちは最新テクノロジーを頼りにしています。同時にリソース効率を改善し、エネルギーとコストを削減し、従業員の負担を軽減し、人間工学ならびに当社のプロセスを最適化していきたいと考えています」とツィーグラー氏は話します。その際には、可能な限り多くの機械で統一される簡単な操作コンセプトが非常に重宝されます。 

品質面でのイノベーション – HOMAG toleranceCheck 

そのため、HOMAG の新たなソリューションが最初から有力候補に挙がりました。というのも、Artur Summ の職人は HOMAG の操作コンセプトをすでに十分に知っていたからです。それは以前の鋸でも他の HOMAG の製造機械でも同じです。「他の会社で CAD/CAM の専門職をしていた頃に学んだ多くのことから言えるのは、HOMAG ほど簡単かつ明確でわかりやすいユーザーインターフェースを備えたマシンコントローラを提供しているメーカーは他にないということです」とツィーグラー氏は話します。革新的なオペレータアシスタントシステム intelliGuide Classic を装備した新しい SAWTEQ S-300 は、これまで以上に快適かつ簡単に切断を行えます。「また、次に何を行うのかを私たちは常に把握しています」とツィーグラー氏は確証を持って話します。「操作ミスによる不良品や廃材はほぼ出なくなりました。」 

いずれにしても切断時の品質は、新しい SAWTEQ S-300 によってはるかに向上しました。特にそれに貢献しているのが HOMAG toleranceCheck です。個別に要求される切断部材の寸法精度と角度精度を継続的にリアルタイムで確保する革新的な機能です。このテクノロジーの中核はアングルルーラーに直接取り付けられたセンサーです。機械オペレータはこれにより、個々の部材が必要な寸法公差内にあるかどうかを横方向分割の前に確認できます。寸法公差内にない場合は、オペレータが直接対応できます。

「以前は、組み立て時になってそのような異常値に気づくなど、遅すぎることがよくありました」とツィーグラー氏は話します。「toleranceCheck によってはるかに優れた品質管理ができるようになりました」。もう 1 つの利点としては、許容範囲内にある部材の場合も、エッジや CNC などの後続の加工でリファレンス面として最適な面をシステムが部材ラベルに記録することが挙げられます。そのことが切断以外でもプロセス信頼性を高めます。

優れたアドバイスも提供 – quickTip

SAWTEQ S-300 のもう 1 つのハイライトが quickTip です。これは、機械の機能を最適に利用できるように組み込まれたアシスタントです。例えば Power Concept では、並行した長さ指定切断によって鋸の処理量が大幅に増加します。では、Power Concept を有効活用できるのはどのようなとき、また、どのような部材に対してなのでしょうか? 「quickTip のおかげでこのような疑問について考える必要がなくなりました」とツィーグラー氏は話します。「推奨事項があれば、システムが自動的に示してくれます」。推奨される機能とパラメータは、直接機械で鋸制御 CADmatic から有効化することができ、流れるようなプロセスを実現します。 

1 年後の結果

1 年後には SAWTEQ S-300 で処理された原板は約 1,000 に上っていました。この会社の工場長はこう確信しています。「この 12 ヶ月の間に新しい切断機で処理した注文量を、もしも古い鋸でやり遂げなければならなかったとしたら、問題が生じていたはずです」。それは言うまでもないことでした。一方で、「大幅にスピードアップしましたが、材料処理量の面ではまだ鋸のポテンシャルを完全に引き出したわけではありません。また、品質をさらに一段高いレベルまで押し上げることができました」とツィーグラー氏は話し、先を見据えています。「この新しい鋸で、まもなく大規模工場レベルの速度を達成できると確信しています」。