HOMAG 縁貼機の 60 年
HOMAG Group は誕生日を迎えました
熱冷間方式によるスルーフィード型縁貼機をHOMAG社(ドイツ、ショップフロッホ)は、60年前、初めて市場に送り出しました。この縁貼機は発売と同時にセンセーションを巻き起こします。それからも絶え間なく技術革新と改良を続けることで、HOMAG は今日に至るまで縁貼機におけるパイオニアとして、またテクノロジー リーダーとしてその実力を証明してきました。
HOMAG Group は、パネル加工用木材・家具製造業向け機械およびシステムで世界をリードするメーカーです。この幅広い製品構成によって、当社は、木工所業界において確固たる地位を築くと同時に、木造住宅建設での主導的役割も担っています。HOMAG Group はグローバルプレーヤーとして 60 を超える国々で事業を展開しており、30 % の市場シェアを有しているグローバル企業です。当社は、家具や建材の製造ならびに木造住宅建設向けに、個々の機械から製造ライン、そして工場のシステム全体に至るまでお客様にぴったり合ったソリューションを提供します。幅、複雑性、性能の面で慎重に分類された当社の製品プログラムは、さらに機械およびシステム周辺の包括的サービスによって完成します。
当初から画期的製品を提供
パネル加工を扱う木材・家具製造業向けの製品ラインナップは、お客様のプロセスチェーン全体をカバーしており、特に縁貼り用システムは 60 年も前からその中に含まれています。今日まで、HOMAG は、このセグメントにおける新方式の先駆者として、またテクノロジーリーダーとして常にその実力を示してきました。例えば、創立からわずか 2 年後の 1962 年には最初の自動縁貼機である KH 2/18 が特許出願されています。これは、ベニアストリップマガジン、グルーユニット、加圧ゾーン、フラッシュトリミングユニットを備える量産機でした。この技術は、その後 HOMAG がこのセグメントで開発するほとんどすべての製品の出発点となりました。さらに同じ 1962 年、ハノーファーで開催された見本市で熱冷間方式による新しい縁貼機も発表されました。この縁貼機は、競合機種よりもはるかにスピーディに、しかも低コストで縁材を加工することができました。これは革命的とも言える製品でした。「有利な価格性能比によって、結果的に大きな需要がもたらされ、HOMAG は 1962 年以降、この縁貼り技術の生産と改良に集中するようになりました」と取締役会メンバーの Sergej Schwarz 博士は説明します。「とりわけ、この方式はメルトグルーという革新的な接着技術によって促進されました」と言います。
その後、1965 年に HOMAG は、新しいベースフレームと幅調整機能を備えるもう 1 つの両面縁貼機を発売し、さらに 1967 年には最初の片面縁貼機 KH12 を開発しました。その後、精密な部材搬送のための開発も進み、機械の進入エリアにサイジングユニットを配置することも可能になりました。「サイジング機と縁貼機とが初めて組み合わされた複合機は、家具製造におけるもう 1 つのマイルストーンとなりました」と製品開発シニアディレクターの Matthias Volm は強調します。「特に KF 60 は、家具製造で大きな成功を収めたモデルになりました。というのも、この機械はもともと縁貼りとフラッシュトリミング用に設計されたのですが、すぐにエンドカットおよび研磨ユニットも使用できるようになったからです」と言います。現在では、このタイプの機械に最大 15 のユニットを取り付け、部材を加工することができるようになっています。
将来的により小規模な家具製造所にも導入できる縁貼機を提供するため、HOMAG は 1973 年にモデル KH 10-13 を設計しました。当時からすでに、ロール材、無垢縁材、プレコーティング縁材などを処理できるように、2 種類の接着ステーションを備える機械が提供されていました。2 年後、HOMAG は 1975 年の Ligna 見本市において、PVAc 接着剤による縁材接着技術「コールドグルー活性化方式 (KA 法)」を初めて業界に発表しました。
1976 年、同様に縁貼機メーカーであり、プレコーティング縁材による加工でも実績のあった Heinrich Brandt Maschinenbau GmbH 社 (後の Brandt Kantentechnik GmbH 社) の過半数の株式を取得します。これにより、木工所業界における HOMAG の市場における地位が強化されたばかりでなく、ドイツの家具産業の中心であるノルトラインヴェストファーレン州での HOMAG の存在感もさらに高まりました。
1982 年、ミュンヘンの手工業見本市において、構造面、多様性、作業安全性の面で根本的改良が行われた新世代の縁貼機 KL 70 が発表されました。「ここで決め手となった革新技術は、スタンド内に統合された機械的空圧式チップ除去システムであり、これまで必要だった吸塵出力を 70 % 削減しました」と製品管理シニアディレクターの Christian Schürle は説明します。1995 年には、改良型モデルが KL 70 Optimat として発表されました。
次々と新製品を発表
「1999 年、HOMAG は、量産向け両面機械として設計された powerLine シリーズによって再び新しい性能クラスへの飛躍を達成しました」とグローバルマーケティングおよび製品管理シニアディレクターの Achim Homeier は強調します。「わずか 30 % のコスト増加で、効率を 50 % 向上させるという powerLine プログラムの目標は、送り速度を上げ、ギャップと装備変更時間を短縮し、稼動時間を延ばすことによって達成されました」と説明。その後、少量生産や個別生産の重要性が高まってきたことから、2001 年、HOMAG はロットサイズ 1 生産に対応する高度に自動化された新世代 powerLine を発表します。
ロットサイズ 1 生産の他に、家具製造業で需要が増加していた軽量構造パネルにも対応するため、2004 年に HOMAG は軽量構造パネルのエッジ加工が可能な最初のソリューションを発表しました。それ以来、HOMAG グループは、軽量構造パネルの製造だけではなく、再加工やエッジ加工にも対応した機械やシステムも提供しています。
Ligna 2009 で HOMAG は再びワールドプレミアを祝うことができました。BRANDT と HOMAG から Ambition シリーズの 6 機種の縁貼機が発売されたのです。「これらのシリーズは、基本仕様ですでに大規模工場および木工所での全用途の 90 % 以上をカバーしています」と Christian Schürle は強調します。続いて 2014 年には、新しいユニット技術を備えた次世代の Ambition シリーズが、出力クラスの異なるモデルを揃えて発売されました。これらの機械に新採用されたのが、現在では高い評価を得ている airTec 技術でした。2016 年からは、オールラウンドエッジセルとして、リターンシステム TFU 521 edition とデスタッキングステーションを装備した Ambition 2482 が使用できるようになりました。
縁材加工の新時代
「とりわけ、Ligna 2009 での laserTec 方式の発表は縁材接着加工の新時代の始まりを告げるもので、大きな話題となりました」と Matthias Volm は強調しました。「接着する面をレーザービームによって溶かし、続いて部材の上に直接押し付けることにより、ほとんど継ぎ目のない均一で質の高い加工が保証されます。これに加え、laserTec を使って、PVC、ABS、PP、PMMA、ベニアまたはメラミンなど、一般に流通しているあらゆる種類の縁材を処理することができます」と言います。2010 年になってこの技術は木工所向けにも提供されるようになり、2011 年にはマシニングセンターでも使用可能になりました。Ligna 2017 ではさらに次の段階に進んだ laserTec 方式が発表されました。「ここでは、より堅牢で、小型化され、性能を最適化した次世代の laserTec がユーザーに提示されました」と Matthias Volm は言います。このユニットは、現在、2 種類の性能クラスが提供可能であり、ゼロジョイントの品質を維持したロットサイズ 1 生産および量産に対応してます。
2013 年には木工所のニーズに合ったゼロジョイント用の airTec が市場に導入されました。「縁材とパネルを熱風で接着する方式」と Christian Schürle は説明します。「ここでは、装飾層や機能層から構成されている特殊な縁材が使用されます。機能層が均一な温度と一定の風量で溶かされ、狭い面に確実に接着することができます」とのこと。 2016 年以降、airTec ユニットには回転エアヒーターが装備され、さらに性能が向上し、静音性も改善されました。2017 年にはこの方式がドア製造で確立され、ABS / PP 縁材による外見的ゼロジョイントが製造可能になりました。
1 つのブランド、1 つのロゴ
2017 年は HOMAG Group およびすべての関連企業にとって特別な年になりました。この年から「ONE」 HOMAGをモットーに HOMAG ブランド名とロゴが 1 つに統一されたのです。「このことは、BRANDT Kantentechnik の縁貼機にも適用されました。この会社はエントリセグメントを専門とし、すでに 2012 年から 100 % HOMAG に帰属しており、現在は HOMAG Kantentechnik と呼ばれています。これにより、2017 年以降、HOMAG Group の工場は統一された規格、方式、プロセスを持つ国際的な生産共同体として稼動しています。さらに製品のモジュラー化も強化され、顧客は 1 カ所からすべてを入手することができるようになりました」と Sergej Schwarz 博士は強調します。
この融合化を皮切りに、プロセスチェーン全体を網羅する新世代の機械が矢継ぎ早に発表され、これらの機械は新しい形の機能設計を有しており、それと結び付けて新しい名称が付けられました。それ以来、縁貼機は EDGETEQ という名称になり、技術的に飛躍的な進歩を遂げました。例えば、2018 年にはエントリ機 EDGETEQ S-200、モデル 1130 FC が発売され、新シリーズの EDGETEQ S-500 や EDGETEQ S-800 もそれに続きました。自律型の自動製造システムへの市場の変化に対応するため、2021 年、HOMAG は次の新しいコンセプトを打ち出します。中でも Live.HOMAG の開催をきっかけに、縁貼機を備える 2 つのセルソリューションが提供されました。すなわち、構造エレメントの製造に最適な EDGETEQ S-380 (リターンシステム LOOPTEQ O-300 装備) と、特に寸法精度の高い部材に対応する DGETEQ S-500 (リターンシステム LOOPTEQ O-600 と新しい部材送りシステム装備) です。さらに、HOMAG は、スウェーデンの VÄLINGE 社が開発した家具用クリック技術 Threespine を使ってクリックシステムで組み立てられる家具用建材を製造できるダブルエンドテノーナを発表しました。必要に応じて、今後、この家具用クリックシステム向けユニットは縁貼機にも直接組み込むことができるようになります。
家具はイノベーションの原動力
しかし、これらのすべての縁貼り技術は、技術の進歩だけで発展してきたのではなく、新しい画期的な家具設計によっても定期的にイノベーションが起こされていました。成形部品もその 1 つであり、HOMAG はスルーフィード方式でこれを生産するため、ソフトフォーミングおよびポストフォーミング機 (KL 70/KL 80 または VF 78/79 および VF 88/89) を開発しました。このような進歩が、今度はまた家具設計にも影響していきます。ソフトフォーミングおよびポストフォーミングコンセプトの他に、HOMAG は、変革期にある家具製造業に、連結ソリューション、オートメーションソリューション、ハンドリングソリューションを提案しました。その例としては、角度伝達装置や回転ステーションなどがあります。「1980 年代の半ばに HOMAG はしゃくり付きドアに縁材を貼り付ける最初のドアシステムも作りました」とプロジェクト実行システムディレクターの Ernst Esslinger は振り返ります。「続いて1987 年には成形部品のスルーフィード機が発売され、これによって、長方形の部材から湾曲した部品や成形部品を一度に製造するという家具業界のニーズに応えました。それまで、この作業は大きな労力を使い、2 回または 3 回の作業手順を踏まなければ不可能でした」と言います。HOMAG は、ポストフォーミング方式の構築に常に努力してきました。そのことが 1990 年に再びより大きな形で結実します。すなわち、ポストフォーミングダイレクトプロセスへの進化によって工程管理の簡略化が可能になり、プロファイル加工、ブラシ加工、グルー塗布、割り当て、プレス加工を独立して行う必要がなくなったのです。
スルーフィードと据え置き型での塗布
純粋な縁材加工の他にも、HOMAG Group は常に新しいテクノロジーを提供し続けています。中でも 1982 年に発表された completeLine 方式により、未加工チップボードを 1 回のスルーフィードで三面および四面に塗布することが可能になりました。「そのために、狭い面を質量で圧縮することにより、粗い孔のパネル材でも縁材の質感を高め、耐荷重性を高めることができます」と Ernst Esslinger は説明。「この流れで、2015 年には completeLine 方式による reacTec ノズルアプリケーション付き表面ラミネート加工機 FKF 200 が発表され、ロール材を使って幅広の面と狭い面を 1 回の作業工程でラミネート加工できるようになりました。その後で、狭い面の仕上げがコーティングラインと仕上げ加工ユニットによって実施されます」と説明しました。
家具デザインの変化と成形部品に対する需要の高まりを受け、HOMAG は 1989 年にこの種の部品を加工するための CNC 固定装置の導入を決定しました。これにより非常に重要な改善も行われ、適用および加工における可能性も広がり続けました。特に縁貼機と縁材加工ユニットの統合は画期的なものでした。ここでは、マシンコントローラが動作とポジショニング速度に対する高い要件を満たす必要がありました。「今日では据え置き型機械により、ほとんどすべての完全加工を行うことができます」と CNC Processing 取締役副社長 Frederik Meyer は明言します。「これは、スルーフィード技術に相当するものとして、未来指向のグループの重要な柱となります。送りおよびスタッキング装置と組み合わせれば、無人による加工を可能にする完全な生産セルが出現します」と言います。
デジタル化とそのツール
木材加工および家具製造業における開発は、今日、自動化およびデジタル化のメガトレンドの影響を大きく受けています。このことは、個々の加工方法も含め生産全体の拡大を左右するキーテクノロジーである制御技術やコンピュータ技術に特に反映されています。「HOMAG は、他のどの企業よりも早くこのことを認識し、継続的にソリューションを提案してきました。従って、グループの全プロセスを統一されたシステムで制御することは、すでに早い段階から戦略目標になっていました」と Matthias Volm は強調します。例えば、1985年には Homatic という名称で新しいタイプの制御システムが導入され、これに続き、複数の連動する機械によって部材の追跡を可能にする生産ライン制御システムも開発されました。2005 年以降、後継モデルの「powerControl」制御が主流になると、これに伴って制御および配電盤の分散化が行われます。Ligna 2013 で HOMAG はついに、デザインと機能を融合したタッチスクリーン操作コンセプト powerTouch を発表。powerControl の制御と組み合わせることで高い顧客ベネフィットを提供しました。それ以降、統合された操作エレメントとソフトウェアモジュールにより、すべての HOMAG 機械は同じ方法で操作できるようになったのです。2019 年には、次世代の powerTouch2 が続きました。
2014 年、HOMAG はさらに強力なツール ServiceBoard を発売します。「このアプリによって、ユーザーはビデオを介して機械のサービス事例を ServiceCenter に伝送すれば、ServiceCenter の従業員がすぐにも指示や映像、あるいは図面などのインフォメーションを提供して、故障を迅速に解消することが可能です」と Achim Homeier は説明します。さらに、プロジェクトサイクル時間を短縮するため、HOMAG の機械およびシステムは 2016 年以降、出荷前にバーチャルで作動させることができるようになっています。このことは、実際のソフトウェアおよび制御コンポーネントを使用してリアルタイムで行われます。2019 年からは、デジタルツインによって従業員と顧客のデジタル式機械トレーニングが可能になりました。その 2 年前、Ligna ではすでに tapio のワールドプレミアが開催されました。これはクラウドベースのプラットフォームであり、木材加工産業のサプライチェーン全体を対象とするデジタル製品およびデータに基づくサービスを含みます。この時から、HOMAG Group のすべての新型機械は、データを tapio クラウドに送信することが可能になりました。
ソフトウェア部門の最新のマイルストーンは、2022 年の woodCommander 5 であり、これは Edge Data Plugin を装備し、縁貼機 EDGETEQ S-500 に搭載されます。このソフトウェアは、製造パラメータのより確実な検知と部材指向の機械プログラム作成、さらには加工プログラムと縁材のスピーディな選択を可能にします。これに加え、縁材を管理する「materialAssist」アプリと機械とを直接接続することもできます。
多大なる貢献
エッジ加工において、そして家具製造および建材製造のその他のあらゆる技術において、HOMAG の製品範囲はエントリレベル、ミドルまたはハイエンドセグメントの個々の機械から複雑な生産ラインやシステムのエンジニアリングおよび設置、さらにはコンサルティング、ソフトウェア、システム開発、システム実装を含む業界ソリューション全体にまで及びます。相互に細かく調整されたこの機械プログラムとサービスプログラムにより、HOMAG Group は、ユーザーベネフィットの高い包括的な製品ラインナップをお客様に提供します。Sergej Schwarz 博士は、「大規模工場および木工所の競争力強化に縁貼り技術が大きく貢献していることは、その 60 年の歴史にはっきりと示されています」と語りました。
サクセスストーリー
HOMAG の最初の縁貼機は、HOMAG グループのサクセスストーリーの出発点であるだけでなく、HOMAG の多くのお客様にとって重要なマイルストーンでもありました。そのため、HOMAG では現在このようなストーリーと最も使用年数の長い機械を幅広く探しています。
非常に長く使用されてきた HOMAG または BRANDT 縁貼機を今もご利用いただいているお客様は、ぜひ従業員の方も一緒に写った機械の写真と機械のどこを特に気に入っていただいているかを説明する文章を添付して、ご応募ください。銘板の写真を 1 枚追加していただければ、情報は完全です。
60 周年記念のメールアドレス: 60years.edgebanding@homag.com
すべての応募の中から、最も古いけれど、現在もまだ稼動中の HOMAG および BRANDT の機械が選ばれます。
入賞者は、ショップフロッホの本社に招待されます。そこでは、工場見学、現在の機械プログラムの個別の概要説明、サプライズギフトの贈呈が予定されています。往復の旅費と宿泊費は、もちろん、HOMAG が負担いたします。さらに、入賞した機械については無料点検を実施します。
応募の締切りは、2022 年 7 月 31 日です